「IT導入補助金でシステムを作りたい」。この相談を、弊社は月に何件も受けます。そして、そのほとんどにこう答えています。その制度では、オーダーメイドのシステム開発はほぼ通りません

補助金でシステム開発ができないのではありません。制度の選び方を間違えているだけです。システム開発・AI導入に使える補助金は、大きく3つの系統に分かれます。そして、どの系統でも「対象外になる費目」がほぼ共通していて、ここを知らずに見積りを取ると、採択されても自己負担が想定より大きく膨らみます。

この記事は、補助金を使ってシステム開発やAI導入をしたい中小企業の経営者に向けて、開発を請ける側の実務から書きます。使える制度と補助率、対象外になりやすい費目、見積書の作り方、入金までの資金繰り、そして補助金があっても作らない方がいい業務まで。制度の数字は2026年8月時点で公式サイトとjGrants(デジタル庁)の公開データで確認したものを使い、それ以外は「公募要領で要確認」と書き分けています。

先にお断りしておきます。補助金は申請すれば必ず採択されるものではなく、弊社が受給を保証することはできません。また、申請手続きはお客様ご自身で行っていただく必要があります(開発を請ける会社は、多くの制度で代理申請を認められていません)。この前提で読み進めてください。

目次
  1. 先に結論。「デジタル化・AI導入補助金」でオーダーメイド開発はほぼできない
  2. システム開発・AI導入に使える補助金は3系統
    1. 01 ものづくり補助金。「革新性」が問われる王道
    2. 02 省力化投資補助金 一般型。オーダーメイドを正面から認めている
    3. 03 自治体の補助金。件数が多く、競争が緩い
    4. 04 デジタル化・AI導入補助金が向いているケース
  3. 採択されても自己負担が膨らむ。対象外になりやすい費目
  4. 補助金前提の見積書、3つの作法
    1. 01 内訳を工程ごとに切る
    2. 02 一定額を超えたら相見積を先に取る
    3. 03 再委託の有無を確認する
  5. 申請から入金まで。補助金は「後払い」である
  6. 補助金があっても、作らない方がいい業務
  7. 補助金で作る業務システムの例。制度の目的別に整理する
  8. 申請書の根拠になる数字の出し方
    1. 01 対象業務を1つに絞り、現状の時間を出す
    2. 02 開発後の時間を、控えめに置く
    3. 03 削減時間を「何に使うか」まで書く
  9. 相談の現場で実際に見た、失敗する進め方5つ
    1. 01 補助金の締切から逆算せずに、開発の相談を始める
    2. 02 採択前に契約・着手してしまう
    3. 03 上限額いっぱいまで機能を盛る
    4. 04 補助金対応の経験がない開発会社に頼む
    5. 05 不採択のときの計画がない
  10. 自社に使える制度を、会社名で3秒で調べる
  11. 弊社の進め方と費用
  12. よくある質問
  13. あわせて読みたい

先に結論。「デジタル化・AI導入補助金」でオーダーメイド開発はほぼできない

2026年、IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に名前が変わりました。名前にAIが入ったことで「AIシステムを作る補助金」だと思われがちですが、中身は変わっていません。この制度は、事務局に事前登録されたITツールを、登録済みのIT導入支援事業者を通して導入するための制度です。

つまり対象は、既にパッケージやクラウドとして存在し、事務局に登録されているソフトウェアです。あなたの会社の業務に合わせてゼロから設計する開発は、登録ツールではないので原則として対象になりません。公式サイトの通常枠案内にも「AI機能があることだけで、審査上の優遇や補助率の引き上げを一律に受けられるわけではない」という趣旨の注記があります。

では、この制度は無意味かというと違います。会計、勤怠、受発注、顧客管理のように「既製のツールで足りる業務」なら、これが最も使いやすい制度です。通常枠の補助率は1/2以内(賃上げ要件を満たすと2/3以内)、補助額は5万円から450万円で、クラウド利用料も最大2年分が対象になります。

問題は「既製のツールでは足りない業務」を、この制度に無理に当てはめようとすることです。ここで制度選びを間違えると、申請の準備に費やした時間がまるごと無駄になります。

システム開発・AI導入に使える補助金は3系統

オーダーメイドのシステム開発やAI導入に使える制度は、次の3系統に整理できます。細かい制度名は年度で変わりますが、この3系統の構造は変わりません。

システム開発に使える補助金の3系統。ものづくり補助金、省力化投資補助金一般型、自治体の独自制度。デジタル化・AI導入補助金は登録ツール限定で対象外
系統代表的な制度補助率上限額オーダーメイド開発
国・生産性向上ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金1/2または2/33,500万円(20次締切・jGrants記載)対象(システム構築費)
国・省力化中小企業省力化投資補助金 一般型1/2(小規模事業者等2/3・公募要領で要確認)最大1億円(公式サイト記載)対象(個別現場に合わせたシステム構築)
自治体都道府県・市区町村の独自制度(例:東京都商店街デジタル化推進事業費補助金 上限1,500万円)制度ごと数十万円から数千万円制度による
参考・既製ツール向けデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)通常枠1/2以内(賃上げ要件で2/3以内)5万円から450万円原則対象外(登録ツールのみ)

表の数字は2026年8月時点で各公式サイトおよびjGrantsの公開データで確認したものです。補助率は枠や従業員規模、賃上げの有無で変わるため、申請前に必ず該当回の公募要領で確認してください。募集中の制度の最新の締切と上限額は、弊社が運営するみつかる補助金の「設備投資・省力化」一覧で毎日更新しています。

01 ものづくり補助金。「革新性」が問われる王道

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。名前に「ものづくり」とありますが、製造業専用ではありません。jGrantsの制度情報では対象業種が農業から情報通信業、医療・福祉まで全業種になっていて、用途にも「設備整備・IT導入をしたい」が明記されています。

この制度の対象経費には「システム構築費」があり、業務システムやアプリの開発費、開発会社への外注費が入ります。補助率は1/2または2/3、上限は20次締切で3,500万円です(20次締切の制度詳細と締切日はこちら)。

注意点は「革新性」が審査の中心にあることです。既存システムの置き換えや、他社と同じ既製品の導入は評価されにくい。「この開発で、自社の付加価値がどう上がるのか」「生産性がどれだけ改善するのか」を数字で示す必要があります。逆に言えば、自社独自のルールを載せたオーダーメイド開発とは相性がいい制度です。

02 省力化投資補助金 一般型。オーダーメイドを正面から認めている

「中小企業省力化投資補助金」には2つの型があります。カタログに載った汎用製品を選ぶ「カタログ注文型」と、「個別現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築」を対象にする「一般型」です。公式サイトにこの文言で書かれているので、オーダーメイドのシステム開発を最も正面から認めている国の制度と言えます。

上限は一般型で最大1億円(公式サイト記載。従業員数や賃上げの有無で変動)。補助率は中小企業1/2、小規模事業者等2/3という情報が複数の解説サイトにありますが、弊社は公募要領本文で未確認のため、ここは「要確認」とします。2026年8月時点で一般型の第8回公募が8月18日から10月中旬(予定)まで受付中、申請ポータルの受付開始は9月中旬予定です。

制度名のとおり「人手不足の解消」が目的なので、申請では「この開発で何時間の作業が減り、何人分の余力が生まれるか」を示すことになります。在庫・発注の自動化、検品や出荷のハンディ連携、日報や報告書の自動作成など、毎日の手作業が積み上がっている業務ほど申請書が書きやすい制度です。

03 自治体の補助金。件数が多く、競争が緩い

国の制度に注目が集まる一方で、都道府県や市区町村の独自制度は見落とされがちです。たとえばjGrantsに2026年8月時点で載っている「デジタル化・AI導入」関連の自治体制度だけでも、東京都商店街デジタル化推進事業費補助金(上限1,500万円)、神奈川県小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金(上限50万円)、久留米市小規模事業者デジタル化支援補助金(上限20万円)などがあります。

金額は国の制度より小さいものが多い代わりに、申請者が地元の事業者に限られるので競争が緩く、要件も国の制度より簡潔な傾向があります。1画面の業務アプリや、既存システムの手前に残った手作業を消す小さな開発なら、自治体制度の方が現実的なことも多い。

自治体制度は数が多く、締切もばらばらなので、自社の所在地で今募集中のものを一覧で見るのが早道です。東京都の募集中一覧のように都道府県ごとのページがあり、募集が終わった制度は自動で消える仕組みにしています。

04 デジタル化・AI導入補助金が向いているケース

冒頭で「ほぼできない」と書きましたが、既製のツールで足りる業務なら、この制度が最も使いやすいのも事実です。会計、勤怠、名刺管理、予約管理、ECのカート。他社と同じやり方でよい業務は、登録ツールを探して導入する方が開発より安く、早い。

弊社が相談を受けたとき、まず「その業務は開発が要るのか」を仕分けするのはこのためです。既製ツールで足りる業務にオーダーメイド開発の補助金を当てると、革新性や省力化の要件が満たせずに落ちます。制度の選択は、業務の仕分けの後に来ます。

採択されても自己負担が膨らむ。対象外になりやすい費目

ここからが、開発を請ける側だからこそ書ける部分です。補助金で開発をするとき、見積書の合計金額がそのまま補助対象になることはまずありません。対象外の費目が必ず混ざり、そこは全額自己負担になります。

補助金の対象外になりやすい費目5つ。要件定義費、保守とクラウドの月額、汎用PC、交付決定前の着手、一式表記の見積書

以下は、弊社が2026年に東京都のシステム導入向け助成金の募集要項を全文読み込み、実際に確認した対象外の例です。制度ごとに違いはありますが、他の制度でも同じ構造の条項がよく出てきます。

対象外になりやすい費目なぜ対象外か見積書での対処
要件定義・仕様書作成の費用「開発そのもの」ではない工程と見なされる制度がある要件定義を別建てにせず、設計・開発の内訳に含める構成で見積る
保守費・クラウドの月額利用料事業実施期間後に続く経費は対象外が基本(デジタル化・AI導入補助金は例外的にクラウド2年分が対象)開発費と保守費を明確に分け、保守は自己負担として資金計画に入れる
汎用のPC・タブレット他の用途にも使える汎用品は対象外端末は別途購入。見積書に混ぜない
顧問契約・コンサル契約先への発注継続契約先との取引は利益相反と見なされる制度がある開発会社と有償の顧問契約を先に結ばない。診断・ヒアリングは無料で受ける
交付決定前に着手した作業採択・交付決定より前の契約・発注は対象外契約日を交付決定後にする。それまでは打ち合わせと見積りまで
「一式」表記の見積り内訳のない見積りは経費の妥当性が審査できない設計・開発・テスト・導入支援などの内訳と単価・数量を書く

特に多いのが「要件定義費」の扱いです。開発会社の見積書は、要件定義を最初の工程として別建てにするのが普通です。ところが制度によってはこれが対象外になる。知らずに申請すると、見積り全体の1割から2割が丸ごと自己負担になります。補助金を使う前提の見積りは、普通の見積りと構成を変える必要がある。これを知らない開発会社に頼むと、申請の段階で困ります。

補助金前提の見積書、3つの作法

01 内訳を工程ごとに切る

「システム開発一式 330万円」は、審査で経費の妥当性を確認できないので通りません。設計、画面開発、AI連携、既存システム連携、テスト、導入支援のように工程で切り、それぞれに単価と数量(人日など)を書きます。弊社では補助金案件の見積りは、最初から制度の対象経費区分に合わせた内訳で作っています。

02 一定額を超えたら相見積を先に取る

多くの制度で、一定額(100万円以上が目安。制度で要確認)を超える発注には2社以上の見積書が求められます。これは「安い方を選べ」という意味ではなく、価格の妥当性を示すためです。1社に決めていても、形式上もう1社の見積りが要る。申請直前に慌てないよう、開発会社に最初から「相見積が必要になる」と伝えておくと段取りが早い。

03 再委託の有無を確認する

制度によっては、開発会社がさらに別会社へ丸投げする「再委託」を禁止しています。開発会社に「自社の体制で開発するのか、外に出すのか」を確認し、体制図を出してもらってください。公開情報で事業内容を確認される制度もあるので、Webサイトに開発実績が載っていない会社は、それだけで審査上の不利になり得ます。

申請から入金まで。補助金は「後払い」である

補助金で最も誤解されているのが、お金の入るタイミングです。補助金は原則、事業が終わって実績報告をした後に振り込まれます。開発費は先に全額を自社で払う必要があります。

補助金は後払い。制度選びから実績報告と入金までの5段階と、各段階のお金の動き
段階やることお金の動き
1 制度選び・事前準備業務の仕分け、制度の選択、GビズIDプライムの取得(電子申請に必須)なし
2 見積り・申請書作成開発会社から補助金対応の見積書を取得。申請書は自社で作成なし(開発会社との有償契約はまだ結ばない)
3 採択・交付決定交付決定通知を受けてから開発会社と契約着手金の支払い(弊社は交付決定後の契約時に着手金をいただく形)
4 開発・導入事業実施期間内に完了(ものづくり補助金は交付決定から10か月以内など)残金の支払い。ここまで全額自己資金
5 実績報告・入金証憑をそろえて報告。確定検査の後に振込補助金の入金(報告から数か月後になることが多い)

つまり、500万円の開発で補助率1/2なら、いったん500万円を自社で払い、後から250万円が戻る形です。採択されなかった場合に自己資金で進めるのか、それとも見送るのかを、申請前に決めておくことをおすすめしています。補助金ありきで規模を決めると、不採択のときに計画ごと止まります。

GビズIDプライムの取得は意外なボトルネックです。国の制度のほとんどが電子申請(jGrants)で、これにはGビズIDプライムが必須。オンライン申請なら即日発行が可能ですが、郵送だと最大1か月かかります。申請したい制度の締切から逆算して、最初に取っておいてください。手順は補助金の申請の仕方(GビズID取得からjGrants電子申請・入金まで)にまとめています。

補助金があっても、作らない方がいい業務

補助率2/3の制度があると「実質3分の1で作れるなら、何でも作ろう」となりがちです。弊社はここで、逆のことを言います。補助金で安くなっても、使われないシステムは損です。1/3でも自己負担は残り、保守費は全額自己負担で毎月続きます。

弊社が相談段階で「作らない方がいい」と判断する業務は、次の3つです。

1つ目は、発生件数が少ない業務。1回30分かかっても月に数件なら合計は数時間で、補助金を使っても開発費の回収に何年もかかります。目安として、月の合計作業時間が10時間に届かない業務は、既製ツールか運用改善から入ります。

2つ目は、既製のSaaSがある業務。会計、勤怠、名刺管理。月額数千円で買えるものを、補助金を使ってでも数百万円で作る理由はありません。この帯はデジタル化・AI導入補助金で登録ツールを入れる方が正解です。

3つ目は、業務のやり方がまだ固まっていない業務。制度は事業実施期間が決まっていて、その中で完成させる必要があります。途中で仕様が変わり続ける業務を期限付きの補助金で作ると、期限に間に合わせるための妥協が入ります。先に運用を固めてから、次の公募回で申請する方が結果的に早い。

逆に、補助金と相性がいいのは、自社独自のルールが業務の中心にあり、毎日同じ作業が積み上がっていて、既存システムとつなぐ必要がある業務です。弊社の実績では、書類作成の業務で作業時間を約80%削減した事例(60分が30分以下に)があり、この帯は「省力化」の申請書が最も書きやすい。

補助金で作る業務システムの例。制度の目的別に整理する

「どの制度が使えるか」と「何を作るか」は、実は同じ問いです。制度にはそれぞれ目的があり、その目的に沿った開発でないと申請書が書けません。弊社が相談を受けたときに使っている、制度の目的と開発内容の対応表を載せます。

制度の目的相性のいい開発申請書で示す数字該当制度を探す
省力化・人手不足の解消在庫・発注管理(過剰発注・欠品・廃棄ロスの削減)、検品・出荷のハンディ連携、日報や報告書の自動作成作業1回の時間×月の回数×人数で出した月間削減時間設備投資・省力化の一覧
デジタル化・DX受発注や請求のデジタル化、顧客管理と案件管理の一体化、紙の帳票の電子化と自動集計紙・手入力で処理している件数と、転記ミスの発生数IT・デジタル化の一覧
生産性向上・革新性自社独自の値付けや見積ロジックの自動化、業界特有の書類の自動生成、生産工程の進捗の見える化1件あたりの処理時間の短縮と、それによる受注可能件数の増加ものづくり補助金(20次)
省エネ・環境エネルギー使用量の見える化とレポート自動化、設備稼働データの収集・分析基盤電力・燃料の使用量の削減見込み省エネ・環境の一覧
雇用・人材採用管理や研修記録の管理、シフト作成の自動化、業務マニュアルのAI検索採用・教育にかかっている時間と、定着率雇用・人材の一覧

この表で大事なのは右から2列目の「申請書で示す数字」です。補助金の申請書は、システムの機能ではなく、業務の数字で書きます。「AIで自動化します」では通らず、「月に何時間の作業が、何時間になるか」が要る。開発会社を選ぶときも、この数字を一緒に出せる会社かどうかで、申請の通りやすさが変わります。

申請書の根拠になる数字の出し方

「削減時間を数字で示す」と言われても、どう計算すればいいかわからない、という声をよく聞きます。弊社が無料診断で使っている手順は単純で、技術的な知識は要りません。

01 対象業務を1つに絞り、現状の時間を出す

最も時間を使っている業務を1つ選び、「1回あたりの時間」「月の回数」「関わる人数」を書き出します。たとえば報告書の作成が1回60分、月に40回、担当2人なら、月80時間です。ここは感覚ではなく、1週間だけ実際に計ってください。感覚で書いた数字は、面談や審査で崩れます。

02 開発後の時間を、控えめに置く

AIで書類の下書きを作る開発の場合、弊社の実績では作業時間が約80%減った事例があります(60分の作業が30分以下に)。ただし申請書では、自社の実績より控えめな数字を置くことをすすめています。審査で見られるのは数字の大きさではなく、根拠の確かさです。半減でも月40時間の削減になり、これは年間480時間、人件費に換算すれば十分な投資対効果になります。

03 削減時間を「何に使うか」まで書く

省力化や生産性向上の制度では、浮いた時間の使い道まで問われます。「営業に回して受注を月2件増やす」「新サービスの立ち上げに充てる」「残業を減らして賃上げの原資にする」。ここが空欄だと、単なるコスト削減に見えて評価が伸びません。逆に、賃上げにつなげる計画は多くの制度で補助率の引き上げ要件になっています。

この3つを1枚にまとめたものが、申請書の中核になります。開発会社に見積りを頼むときも、この1枚があると見積りの精度が上がり、複数社の比較もできるようになります。

相談の現場で実際に見た、失敗する進め方5つ

制度の知識があっても、進め方で失敗するケースがあります。弊社が補助金前提の相談を受ける中で、実際に見てきたものを5つ挙げます。

01 補助金の締切から逆算せずに、開発の相談を始める

締切の2週間前に「この制度で開発したい」と相談に来られると、ほぼ間に合いません。業務の仕分けと数字の整理に1週間、見積書の作成に1週間、相見積の取得にさらに1週間、GビズIDプライムが未取得ならその期間も乗ります。申請したい制度の締切から、最低でも1か月半前に開発会社へ相談するのが現実的な線です。国の制度は年に複数回の公募があるので、間に合わなければ次の回に回す判断も必要です。

02 採択前に契約・着手してしまう

「どうせ通るだろう」と交付決定前に契約し、開発を始めてしまうと、その分は対象外になります。開発会社が急がせてくることもありますが、契約日は交付決定の後です。それまでは打ち合わせと見積りまで、と線を引いてください。

03 上限額いっぱいまで機能を盛る

上限が3,500万円と聞くと、「せっかくだから全部作ろう」となりがちです。しかし自己負担は残り、保守費は全額自己負担で毎月続き、期限内に完成させる必要があります。機能を盛るほど、期限に間に合わせるための妥協と、使われない機能が増えます。最も時間を使っている業務を1つ、確実に効果が出る規模で作る方が、結果として次の公募回にもつながります。

04 補助金対応の経験がない開発会社に頼む

ここまで書いたとおり、補助金前提の見積書は普通の見積書と構成が違います。要件定義の扱い、内訳の切り方、相見積、再委託、体制図。これを知らない会社に頼むと、申請の直前に見積書を作り直すことになり、最悪の場合は締切に間に合いません。開発会社に最初の打ち合わせで「補助金前提の見積書を作ったことがあるか」と聞いてください。

05 不採択のときの計画がない

補助金は採択を保証するものではありません。不採択だったときに「自己資金で規模を縮めて進める」のか、「次の公募回に再挑戦する」のか、「見送る」のかを申請前に決めておかないと、結果が出た瞬間に計画が止まります。弊社では、不採択時に規模を縮めた案(1業務・1画面、初期330,000円からの帯)を最初から並行して用意するようにしています。

自社に使える制度を、会社名で3秒で調べる

制度の全体像がわかっても、「うちの会社が今申請できるのはどれか」を調べるのが手間です。国の制度、都道府県の制度、市区町村の制度がそれぞれ別のサイトにあり、締切もばらばらで、募集が終わった情報がそのまま残っている。

弊社はこの手間を減らすために、補助金検索サイト「みつかる補助金」を運営しています。会社名を入れると、法人番号のデータベースから所在地を特定し、その都道府県で今募集中の制度に絞り込みます。jGrants(デジタル庁)の公開データと自治体の情報を毎日更新し、締切を過ぎた制度は自動で消える仕組みです。2026年8月時点で募集中の制度は900件を超えています。

システム開発やAI導入の目的で探すなら、IT・デジタル化の一覧設備投資・省力化の一覧の2つを見れば、国と自治体の該当制度がまとめて出ます。各制度のページには「この補助金で作れるシステムの例」も載せています。

弊社の進め方と費用

株式会社TAGIRUは、補助金の活用を前提にしたAI・システム開発を中小企業向けに手がけています。進め方は次のとおりです。

最初に無料のAI業務診断(オンライン30分・NDA締結後)で業務を棚卸しし、既製ツール・運用改善・開発のどれに当たるかを仕分けします。開発が要らない結論になれば、その旨をお伝えして終わります。この段階で有償の契約は結びません。前述のとおり、顧問契約先との取引を対象外にする制度があるためです。

開発が要ると判断した場合、使える制度の候補と、その制度の対象経費区分に合わせた内訳の見積書をお出しします。システム開発は初期330,000円(税込)からで、1業務・1画面の規模がこの帯、既存システムと連携する規模で100万円前後、業務の流れ全体を載せ替える規模で300万円以上が目安です。申請書はお客様ご自身で作成いただきますが、「この開発で何時間減るか」の根拠になる数字は診断の結果からお渡しできます。

納品後の保守と改善は、月額顧問プラン(33,000円から・税込)で継続します。保守費は補助金の対象外になるのが基本なので、ここは最初から自己負担として資金計画に入れてください。開発体制は自社で持っていて、再委託はしていません。導入実績は北海道・沖縄を除く45都道府県です。

繰り返しになりますが、補助金は採択を前提にした制度であり、弊社が受給を保証することはできません。採択されなかった場合の進め方も含めて、最初の診断でご相談ください。

よくある質問

IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)でオーダーメイドのシステム開発はできますか
原則としてできません。この制度は事務局に事前登録されたITツールを、登録済みのIT導入支援事業者を通して導入するための制度で、自社向けにゼロから設計する開発は登録ツールに当たらないためです。オーダーメイド開発には、ものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金の一般型、自治体の独自制度を検討してください。
システム開発に使える補助金の補助率と上限はどれくらいですか
2026年8月時点で、ものづくり補助金は補助率1/2または2/3で上限3,500万円(20次締切・jGrants記載)、中小企業省力化投資補助金の一般型は最大1億円(公式サイト記載)、デジタル化・AI導入補助金の通常枠は1/2以内(賃上げ要件で2/3以内)で5万円から450万円です。補助率は枠や従業員規模で変わるため、申請前に該当回の公募要領で確認してください。
AI導入も補助金の対象になりますか
なります。ただし「AIだから優遇される」わけではなく、生産性向上や省力化の効果を数字で示せるかが審査の中心です。書類作成やデータ入力など毎日の手作業が積み上がっている業務ほど、削減時間を示しやすく申請書が書きやすくなります。
補助金の対象外になりやすい費用は何ですか
要件定義や仕様書作成の費用、保守費やクラウドの月額利用料、汎用のPCやタブレット、顧問契約先への発注、交付決定前に着手した作業、内訳のない一式表記の見積りです。制度ごとに差はありますが、弊社が募集要項を実際に確認した範囲では同じ構造の条項がよく出てきます。
見積書は普通の見積りと何を変えればいいですか
工程ごとに内訳と単価・数量を書き、要件定義を別建てにせず設計・開発の内訳に含める構成にし、開発費と保守費を明確に分けます。一定額を超える発注では2社以上の見積書が必要な制度が多いので、開発会社に最初から相見積が要ることを伝えておくと段取りが早くなります。
補助金はいつ振り込まれますか。開発費は先に払う必要がありますか
補助金は原則後払いで、事業完了後に実績報告をし、確定検査を経てから振り込まれます。開発費はいったん全額を自社で支払う必要があります。採択されなかった場合に自己資金で進めるかを申請前に決めておくことをおすすめします。
開発会社に申請を代行してもらえますか
多くの制度で、開発を受託する会社による代理申請は認められていません。申請はお客様ご自身で行う必要があります。弊社は申請書の根拠になる削減時間の数字や、制度の対象経費区分に合わせた見積書の作成で支援します。
自社が今申請できる補助金を手早く調べる方法はありますか
弊社が運営する補助金検索サイト「みつかる補助金」で会社名を入力すると、所在地の都道府県で募集中の国・自治体の制度に絞り込めます。jGrantsの公開データと連携して毎日更新し、締切を過ぎた制度は自動で表示されなくなります。

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